セミリタイアを目指す弁護士ブログ

資産運用、法律事務所経営、セミリタイアなど興味があることをつづっていきます。

セミリタイアのタイプ③不動産投資型セミリタイア

セミリタイアのタイプとして、節約型、自営業縮小型とあげたが、次は不動産投資型セミリタイアである。

(今さらだが、セミリタイアの分類は、網羅的でもないし、複数のタイプにあてはまる場合もある。あくまでも、個人的に考えた分類に過ぎないので、参考程度にしてもらいたい。)

 

このセミリタイア方法は、不動産の賃貸収入をメインの原資として行うセミリタイアである。

 

資産形成方法

不動産投資の特徴として、手元に資金がなくても融資でレバレッジをかけて投資ができる、ということがある。

ただし、有利に融資を受けるためには、固定収入があるほうが有利であるため、資産がない段階では正社員として就職しておくことが望ましい。

 

不動産を購入する際に、重要なことは、購入価格次第で投資の成否がほぼ決まるということである。

すなわち、表面利回り(年間賃料収入÷不動産価格)が低い物件を購入してしまうとその後の挽回が極めて困難になる。

特に不動産の価格が高い時期には、利回りが悪化するため、購入には慎重になるべきである。

最近ではリーマンショック後や東日本大震災後の不動産相場の下落時が、ひとつの購入のチャンスであったといえる。

しかし、現在は相場が上がりすぎと考える人も多い。

 

ネット上では、表面利回り−ローン利回りが、10%以上を推奨する人もいるが、探してみると、現時点では、普通に探すとそんな物件はほとんどない。

たまに高利回りの物件があっても、築年数や場所などにおいて魅力に乏しい物件であることがほとんどである。

つまり、それなりの目利き力や、独自の仕入れルート、客付けのノウハウ、格安でのリフォームのノウハウなど、何らかの他の投資家より優位な点がなければ手を出すことは危険である。

景気が悪化し、不動産の相場が下がることを待ってから購入するのが安全策であろう。

 

また、もう一つ見落としがちで重要な点は、税金(所得税、住民税)である。

不動産投資をする上で、税金の理解は重要であるが、サラリーマンの場合は会社が年末調整などをしてくれ、意識する必要がないため、この点の理解が甘くなりがちである。

 

(クイズ)

例えば、年間の賃料収入が200万で、ローン元本返済が120万円で利息支払いが20万円だとすると、ローン返済後手元に残るお金は60万円となる。(単純化のため、減価償却費以外の経費は0とする。)

 

さて、この例で税金は、いくらの不動産所得に対してかかるだろうか?考えてみてほしい。

 

 

手元に残った60万円に対して税金がかかると考えた人は、間違いである。


大事なことは、「ローンの元本の返済は経費にはならない」ということである。

正解は、賃料収入−利息の180万円から減価償却費を引いた額に対して税金がかかるのだ。(これは不動産所得として申告する場合であり、投資規模が大きくなると事業所得になるため異なる。)

 

もともと多額の給与所得がある人は、適用される税率も高くなっているため、税金の支払いはさらに大きな負担となる。

税金の支払分を差し引いた最終的な手残りは微々たるものになるケースもあるし、マイナスになることもあるだろう。

 

(計算方法が間違っていたら指摘お願いします。)

 

不動産の売却益を考えることも重要である。

不動産の譲渡所得に対する課税は買ってから5年経過すると軽減されるため、5年以上経った後に売れる物件かどうかを買う時点で慎重に考慮する必要がある。

 

資産運用方法

資産形成方法として行った不動産投資をそのまま続ければよい。

一旦勝ちパターンを作れれば、その後の運用も安定しているのが、この方法の大きなメリットである。

 

生活スタイル

一旦一定の資産を築けば、基本的には安定した賃料収入が見込める。

家族を持ったり、通常の生活を営むことが可能である。

 

注意点

不動産投資は多額のローンを背負う可能性があり、物件選びに失敗した際のリスクは非常に大きい。 

また、取引に関わるトラブルも多い。

以下は実際に私が直接聞いたことのあるトラブルである。

・空き家が多い物件に、入居者を入れて満室に見せかけて売られた。 

・入居者がいる物件として内見ができず、退去後に瑕疵が見つかった。

・リフォーム業者がきちんと仕事をせず、不具合が発生した。

・取引の慣習を知らず、司法書士を入れなかったため、代金を持ち逃げされた。しかも物件には抵当権がついており、裁判で登記を得ても、いずれ所有権を失う恐れがある。

 

 

これらの失敗を防ぐためには、事前に、不動産の評価方法、法律などについて十分に知識を得ておく必要がある。

また、信頼できる不動産業者、リフォーム業者、司法書士、弁護士などを見つけておくことが望ましいだろう。

 

様々なハードルを乗り越えて、投資がうまく行けば、複数の物件を運用し、多額の安定収入を得ることができる。

魅力も大きいが、危険もある手法といえよう。